国立動物園をつくる会について

動物園にできること・なすべきこと


動物園は生きた動物の飼育展示をとおして、多くの人に動物や自然からのメッセージを伝えています。日本は、1882年最初の動物園として上野動物園が誕生して以来130年、90以上の動物園が存在する世界有数の動物園大国となっています。動物園は身近に野生動物を観察できる施設として、多くの人に親しまれ、利用者は年間4000万人にものぼっています。

動物園に何ができるか考えてみましょう。


1.伝える


動物園では生きた動物の飼育展示を通して、動物や動物たちの棲む環境の置かれている現状を伝え、どのようにすべきかを多くの人々に考えていただくことができます。生きた動物からのメッセージはより効果的なものとなります。


2.飼育下繁殖


動物園ではこれまで様々な野生動物を飼育し繁殖に取り組んできました。こうした技術はトキや二ホンコウノトリなどのように希少動物の保護増殖に役立てられています。野生で減少しこのままでは絶滅してしまうおそれがある動物たちを緊急避難的に動物園で増やし、生息地の環境が回復するまで守っていくことができます。


3.データ収集


野生動物の保全には科学的な情報が必要ですが野生動物に関する情報を得ることはとても困難なことです。しかし動物園では例えば日々排泄される糞から性ホルモンを抽出し繁殖に関するデータを得ることなど、継続的に動物に負荷をかけずに得られた知見を、野生での保全活動にフィードバックさせることができます。




今後こうした機能をますます充実させるとともに、生息地との連携を深めてゆくこと、さらにその取の組みで得られたことを伝えてゆくことで、地球環境の保全に貢献することが動物園のこれからの大きな課題となっています。

自然環境が悪化し多くの野生動物が絶滅に瀕している今、大切な野生動物を飼育展示する施設としての動物園のあり方を明確にするとともに各地の動物園の規範となる国立動物園が必要なのです。