国立動物園をつくる会について

日本には、100年以上も前から動物園が存在し、日本人にとって“動物園はあって当たり前”の施設となっています。でも、日本には公(自治体)立と私立の動物園しかなく、国は動物園を持っていないのです。また、それぞれの自治体や企業によって設立目的に違いがあり、日本の動物園全体が目指す方向性は明確ではありません。


私たちは、日本における動物園の役割をもう一度見直すべきだと考えています。それは、持続可能な社会の構築に貢献する動物園ということです。動物園は、動物そのものの徹底した解明のみならず、動物の生息する自然環境や社会環境、地域の文化に至るまで、地域の人々や、大学、研究機関と共同して、日本のふるさとを守るための広範囲な活動ができる体制を整える必要があります。その活動の中心となるのが“国立動物園”です。


また、世界各地の野生動物が、地球温暖化による生息環境の変化や人為的な自然破壊による生息地の減少によって、生存の危機を迎えています。それらの環境変化に、日本の経済的発展が深く関わってきたことも確かなことです。そして、私たち日本人の豊かな生活を支えているのも、野生動物の多く生息する地域からもたらされた資源が多いことも意識する必要があります。


みなさんが子どもの頃から動物園で慣れ親しんだ、多くの野生動物が、絶滅を心配されてきています。日本国は、世界中の国々と経済的な関わりを持っており、野生動物の置かれている現状と無緑ではありません。特に、大型の野生動物の生息地は、いわゆる発展途上国と言われている地域であり、彼らを絶滅から救うためには、日本国としての持続的な協力と支援が必要であると言えます。具体的な支援として“国立動物園”が大学および研究機関と共同して野生動物の研究を行い、生息地に暮らす人々と共に生息環境の保全、生息地の確保などを実施していくのです。


国家と国民の意思で“国立動物園”を設立し、日本の動物園全体が進むべき方向性を示す、今がその時なのです。
                

代表 小菅 正夫 (2012年1月)